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 『悪人』

ナナテン中☆☆☆☆☆

予告を観た時から惹かれるモノがあった。
それは、【珍しい金髪のブッキー】と【フカっちゃん】という、
取り合わせの妙に興味が湧いたのと、
ヒシヒシと伝わってくる【切ない感】によるものだったと思う。
<観なければ>と強く思った。

はじまってしばらく、
『告白』の冒頭で感じたのと同じ「心のざわつき」を感じ、
そこはかとなく漂う不穏な空気に思わず眉をひそめて観ている自分がいた。
この感覚が嫌いではない。

しかし観終わり結論から言うと、悪くはないだけに、残念で仕方ない。
どうしても譲れない部分があるのだ。
といっても、原作を読んで言っているわけではない。

【以下、内容にふれます】

1番の核であると私が思うところの光代の心情の描き方が薄い。
フカっちゃん演じる光代が祐一に惹かれるまでの気持ちの過程だ。

私はレビューにあらすじを書くのをヨシとしないが、
今回だけはまとめるために少しだけ追ってみる。

 寂しく虚しい生活を送っている光代と祐一が出逢いました。
 光代は純粋に出会いを求めていたが、
 そこはやはり出会い系サイト、
 灯台の話で盛り上がったこの男ならもしかしたら信頼できるかも、
 と思ったのも束の間、やはり体目的だったのか、と、
 打ち砕かれた期待と浅はかな自分を思い泣き崩れる。
 ところがその男は後日、
 謝るためだけに遠路はるばる車を飛ばしてやってきた。
 あらためて2人の関係がはじまる兆しが見えた、、、
 
ここなのだ。
祐一の「殺人」の告白はこの時点でされる。
祐一の告白のタイミングとしては、わかる。
「この女ともう少し前に出逢っていれば」と、
自分のしてしまった取り返しのつかない罪を悔いるのは。
でもそこで、光代が即「(償って戻ってくるのを)待ってる」
というのが、どうしても理解できない・・・。
いや、理解できないというより、
そう思うまでの気持ちの変遷をもう少し丁寧に描いてほしかったのだ。
あと何回デートさせろ、もう数日過ごさせてからにしろ、
などと言っているわけではない。
恋愛はそういう問題ではないのは重々承知だけれども、
それにしてもそこに至るまでがいささか唐突すぎやしないか。
「せっかく見つけた(かもしれない)人」に簡単に、
そこまで依存してしまうほど切羽詰まった女心の狂気?
そうではないだろう、
光代はどこにでもいる普通の<私たち>にすこぶる近い人間だと思う。

ここの、この一点がモヤモヤしたまま逃亡に続くので、
ずっと消化不良な感じを持ち続けたまま観てしまう結果になり、
深いところに入りこめないまま終わってしまった・・・。
他がよかっただけに、そこが残念でならないのだ。

ただ、予告で感じた【切ない感】は、違うカタチで響いた。
報われない2人の愛に、ではなく、
同じような田舎に住む者にとって、あの2人はリアルそのもの。
多かれ少なかれ、誰の中にもある孤独感、
(誰の中にもは言いすぎだな。皆無の人もいるよねきっと)
他人から必要とされたい、
誰かと繋がっていたい、という思いを持つ祐一や光代は、
たとえ暮らしているのが都会であっても、確実にそこらじゅうにいる。
だからといって出会い系サイトにアクセスせず、
       殺人も犯さないだけで。
そこがイタく、とても響いた。

物語の本質である「誰が本当の悪人なのか?」という問いについては、
日頃から取り沙汰される数々の事件でも同様のことがいえる。
もちろん殺人は赦されることではないが、
立場を変えてみるとそこには別の一面があったりする。
この映画でも佳男は祐一以前にまず増尾を恨む。
間接的な原因となったのが増尾だとわかっているので当然だろう。
でもどこかで、軽卒な言動をとった娘の非も感じているため、
夫婦間も少しギクシャクしてしまうところなどとても現実的で、
観た者に多少ならずとも物の見方を再考させる効果があり、
この問題提起自体は大成功だったのではないだろうか。

【以下、ざっと他所で感想をナナメ読みした後】

脇を固める役者が良かったというのは、
他で誰もがこぞって書いているようなので割愛する。
柄本明樹木希林も、良くて当たり前だとも思うし。
「バスの運転手のひと言がよかった」という意見も多いようだが、
これと、永山絢斗演じる、増尾(岡田将生)の友達がスパナを投げるシーンと、
佳乃の幻影は要らないなぁと思った。
ちょっと説明的すぎる。
マスコミを一喝する&増尾を非難する視線&佳男の語り、でじゅうぶん伝わったのに。

「光代が社会復帰できるようにとの祐一の最後の優しさ」
のお陰であの【その後の生活】が描かれていてよかった、
という意見もあったが、私はそれは不服である。
一旦は捨て身で貫こうとした想いのある光代である。
祐一が逃亡劇をどう演出しようが、
「自分の意思で一緒にいた」と主張して、
祐一の罪を少しでも軽くしようとするのが普通ではないか?
と思ったのだ。
上で<女の狂気か?>と書いたが、
「光代は熱病から冷めたように、すっかりそんな事件のことなど忘れて
 日常の生活に戻っております」ならば<やはり>で済むのだが、
後日談として事故現場を訪れているではないか。
うーん、中途半端。

しかし、兎にも角にも、本当はキラキラのおメメを封印した、
暗い目のブッキーは新境地であったと思うのでした。

『悪人』
監督:李 相日
原作:吉田 修一
脚本:吉田 修一/李 相日
音楽:久石 譲
出演:妻夫木 聡(清水 祐一)
   深津 絵里(馬込 光代)
   柄本 明(石橋 佳男/佳乃の父)
   樹木 希林(清水 房江/祐一の祖母)
   岡田 将生(増尾 圭吾)
   満島 ひかり(石橋 佳乃)
   宮崎 美子(石橋 里子/佳乃の母)
   光石 研(矢島 憲夫)
   余 貴美子(清水 依子/祐一の母)
   松尾 スズキ(堤下/胡散臭い漢方売り)
   塩見 三省(佐野刑事)
   韓 英恵(佳乃の友達)
   中村 絢香(佳乃の友達)
   永山絢斗(増尾の友達)
   山田キヌヲ(馬込珠代/光代の妹)
   井川比佐志(清水 勝治/祐一の祖父)
   池内 万作(刑事その2)
   モロ 師岡(バス運転手)
   でんでん(タクシー運転手)

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21:10 | 公開中映画
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